

言葉はいつだってfar away、@SHARP_JPです。不安定。むかしからそういうものだと言ってしまえばそれまでですが、私たちが使う言葉には流行り廃りがあります。毎年あれだけの数がノミネートされる流行語大賞も、2年にわたって流行語であり続ける言葉など見たことがない。みんな、あんなに面白がって使っていたのに。
そしてツイッターは、言葉が栄枯盛衰する舞台として最たるものだろう。時にインターネット・ミームなどと呼ばれ、突如あるフレーズが爆発的に使われることがしばしば起こる。そのうちのいくつかは定着を見せ、それがネットスラングやインターネット構文というような文化を形作っていくケースも、ネット歴が長い人には馴染みのあることでしょう。
だがほとんどの場合は、廃れる。あれだけバズを生み出し、数々の改変ツイートを繰り返してみんなを楽しませたフレーズも、いつのまにか古い言い回しに変化してしまう。いつどこでとはだれも明確に言えないけれど、あるポイントを境にミームは折り返す。その折り返し点のひとつに「企業アカウントや広告ツイートにそのフレーズが使われ出した時」というのがあるのではと私は睨んでいるのだが、もちろんエビデンスはないし、そもそも「お前が言うな」とブーメランが飛んでくるから、とても大きな声では言えない。
それはテレビの情報番組で、JK(という言い方も雲行きが怪しいが)流行語ランキングといった特集が組まれるころには、その言葉のことごとくを当のJKがもう使っていないという現象に似ている。とにかくネットでは、言葉が流行り、廃れるのはありふれた光景といえるだろう。
新しい言葉はいつも、はじめは閉鎖的だ。新しい言葉は新しい使い手によって生み出され、その新しさがわかる身内で通用する符牒として流通するのだから当然だけど、私は閉鎖的な符牒から解放され、その後廃れるプロセスに興味が尽きない。あの文字から立ち昇る古臭さやおじさんっぽさは、どうやって醸成されるのだろう。
すべてを肯定してくれる彼氏 その33(あまいろ 著)
さいきんツイッターで話題を呼んでいるあまいろさん(作者のツイートは2万以上のRTが付いている)によるシリーズのマンガ。ここで取り上げた回は、主人公に彼氏ではなく、友だちができる派生パートの1話です。気になる人は、はじめから読んでみてください。
主人公は、なぜか昭和のフレーズを連発する女子大生。私たちが「冗談はよしこさん」なんて昭和ギャグを実際に使った日には、おじさんどころか、絶滅種のような扱いをされると思うけど、彼女には躊躇がない。しかも昭和ギャグを放つ相手(彼女には友だちも彼氏も一人しかいない)だって年齢が若すぎて、そもそもそれがギャグであった事実を知らない。知らないからこそ、新旧の判断もつかないわけで、結果的に主人公の、年齢不詳で不思議な魅力が醸し出されていく。
本人もそれが死んだギャグだということをまるで知らないかのように、昭和を連発する主人公には、ウケてやろうという下心がまったく感じられない。むしろ祖母から教えられた古い歌謡曲を口ずさむように、彼女は昭和のフレーズを多用する。その衒いのなさが彼女の素直さを表すようで、友だちも(彼氏も)それを彼女の魅力として受け入れる。
立ち返って考えれば、新しい人が古い言葉を使うのと、古い人が新しい言葉を使うのでは、作用がまったく異なるのだ。新しい人が古い言葉を使うと、そこに教養すら感じることがある。「一周回って新しい」なんてよくいうけど、一周前を熟知している若者がいれば、それはもう彼や彼女の知性だろう。しかし私たちが職場やツイッターでしばしば遭遇するのは、古い人が新しい言葉を使おうとするシーンだ。そこに私たちは「今はこれを使っておけばいいのだろう?」という古い人の打算を感じて、萎えてしまう。
で、私がなにを言いたいかって、
\こういうのとか/
_人人人人人人_
>こういうやつ<
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
を使った企業や広告のツイートを見ると、打算しか感じないよねということです。

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