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シャープさんさんの作品:話半分アドバイス

ベテランの入り口に立っています、 @SHARP_JP です。会社にいても、道を歩いても、新人という期間限定の初々しい人類を見ることができる季節だ。道でとつぜん名刺交換させてくれと言われない限り、見かけるたびに「がんばれ」という念を送るようにしている。しかし我ながら情けないことに、がんばれの後になんも続かない。先輩として有益なことをひとつふたつ教えてあげたいと思うのだが、長らく働いてきた私の中に、会社生活を円滑にするようなアドバイスがなんもない。

 

ましてやこの10年、社会の変化が加速しまくっている最中なのだ。去年と今年であっという間に生活が変わったかと思えば、がんこな食器汚れのようになかなか剥がれ落ちなかった慣習がとつぜん批判を浴びてピカピカになったりする。それは制度やルールといった明示されたモノだけでなく、みんなで「それは常識だろう」と一言で片付けてきた不文律なモノこそが、変化の波打ち際でざばざば波に洗われているように思えてくる。

 

だからほんとうに私は、なにもわからない。刻一刻とわからない。私が新人と呼ばれていた時に「これはそういうものだから」と教えられたモノが、ことごとく「話がちがうじゃないか」と言いたくなることばかりなのだ。話がちがうじゃないかとオロオロしている大人に、なにか言うべきことなどあるわけがない。むしろいっしょにオロオロしてほしいくらいである。

 

とにかく私は「こんなの常識だぞ」という顔して近づいてくるモノには、半身で対峙しろと肝に銘じている。「そういうものだから」という空気をまとってやってくるアドバイスは、話半分で聞くしかないと決めている。だから私が言うこともどうか、話半分で聞いてほしい。言ってる側のベテランがゆらゆら揺れているのだ。新人のみなさまにおかれましては、半信半疑でがんばってほしい。働いて働いた先に「話がちがうじゃないか」が、容易に起こりうる世の中。半身で構えるくらいがちょうどいいと思う。

 

大学生の時に出会ったかっこいい大人(かっぱ子 著)

 

時に仕事は「そんなの当たり前だろう」という顔して、あなたに無理を押し付けてくることがある。右も左もわからない者にこそ無理が通ることをわかっているから、悪い大人は常識という皿に乗せてブラックな仕事を差し出す。このマンガはそういう悪い大人のことを描いている。で、もちろん世間は悪い大人だけではない。いい大人もいる。やさしい大人もいる。かっこいい大人もいる。そういうことも、このマンガは教えてくれる。

 

このマンガを読んで私にもひとつ、新人と呼ばれる人に言えることがあるかも、と思い出したことがある。それは「こわいおじさんこそやさしい」ということだ。寡黙で、ぶっきらぼうで、ちょっと話かけにくいおじさんが職場にいたら、その人にこそ困った時は助けを求めたらいい。こわい顔は変わらないかもしれないけど、たいていは的確に、過不足も意地悪もなく教えてくれるから。

 

こわいおじさんはこわくない。圧倒的におじさんに囲まれる職場で働いてきた私からの経験則である。逆に柔和な作り笑いを顔に貼り付けたおじさんは、怒ったらめっちゃ怖かったりするので気をつけて。以上、製造業の現場からのお知らせでした。

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2024/4/18 コミチ オリジナル
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