突然ですが、コミチは「縦スクマンガ」を推しています。
コミックス市場では、2017年に電子の売り上げが紙を上回りました。そして、この差は年々大きくなっています。
この要因には、間違いなくスマートフォンの普及があると言ってよいでしょう。
ということは、スマートフォンでの閲覧に最適化した「縦スクマンガ」は、WEB時代のマンガ表現のひとつの解だとコミチは考えています。
(このあたりの詳しいお話は、コミチ代表・萬田(@daisakku)がこちらの記事にまとめています。)
企業ミッションとして、「マンガのデジタル体験をより良いものにする、マンガのデジタル・トランスフォーメーション」を掲げるコミチが、縦スクマンガを推しているのはそういう理由があります。
コミチはこれまでに、縦スクマンガの発展のため、「自動コマ分割機能」という従来のコマ割りマンガを縦スクマンガに変換する機能を開発したり(詳しくはこちら)、「縦スク」というお題で漫画賞を開催したりしています(またまた詳しくはこちら )。
ですが、「縦スクマンガ」はまだまだ生まれたてのマンガ形態です。
描き方のノウハウはまだ体系的にまとめられているとは言えず、描きたいと思っても描き方がわからない、というのが現状です。
そこで、この連載では縦スクマンガの基礎知識をまとめてお伝えし、縦スクマンガに挑戦する漫画家さんの助けになりたいと思っています。
樹崎聖先生の連載「縦スクマンガの基本」と併せて読んでいただくとより深く理解できると思いますので、そちらもぜひご一読ください。
初回は、「縦スクマンガ」と従来の「コマ割りマンガ」を実例を見ながら比較し、基本的な違いを押さえていきましょう。
従来のコマ割りマンガの例
従来のコマ割りマンガでは、紙の本にしたときに読みやすいことを前提にコマ割りなどの演出を考えます。
日本のコミックスは基本的に右綴じなので、必然的にいちばん読みやすいのは右上から左下に時間が流れていくコマ割りです。
コマ割りマンガはその流れを基本としながら、コマの大小でリズムや緩急をつけたり、わざと基本枠からはみ出るように描くことで迫力を出したりします。
次のページをめくりたくなるような「ヒキ」のコマを左ページの最後に置いたり、見せ場では2ページ分を使った見開きを使ったりすることも特徴です。
縦横の長さの差が小さいため、横長のコマも多く使われます。
縦スクマンガの例
対して縦スクマンガは、上で述べたようにデジタルデバイス、特にスマートフォンで読まれることを前提に作ります。
スマホは上から下へスワイプするので、マンガもその動きを基本に、上から下へと時間が進んでいきます。目線の動きが直線的なため、読み順がわかりやすいことも特徴です。
横割りのコマは上から下へ時間が流れていく縦スクマンガにはそぐわないため、特別な場合を除いてほとんど使われません。このあたりのことは、樹崎聖先生の連載『縦スクの基本』第8話『縦の視線誘導』、第9話『横割り同時進行!』で解説されています。
『縦スクの基本』の第4話『縦スクとして話作りの基本を活かす!』、第5話『縦の距離で心を描け!』で詳しく解説されているように、縦スクマンガでは「間」でリズムや緩急をつけたり、見開きに通ずる迫力を出したりしています。
このあたりの演出方法については、今後の連載で詳しく解説していきます。
そして忘れてはいけないのは、あらゆるコンテンツがカラーで表現されるWEBでは、マンガもフルカラーで描くことが必須となっているということです。
これにより作業量が増えたように思えますが、バックに色を敷くことで詳細に背景を描く必要がなくなったり、スクリーントーンを貼る必要がなくなったりと省略できる工程も出てきます。
今回お伝えしたポイントを表にまとめてみました。
次回からは各項目について詳しくお伝えしていきます!
こういうことについてもっと解説してほしい、これってどうなの?と思うことがあれば、コミチ公式Twitter へぜひご意見をいただけると嬉しいです。
マンガ:にいの