みなさんこんにちは!
この連載では、縦スクロールマンガの基本的な描き方について実例マンガを交えて解説しています。ぜひ第1話から読んでいただけるとうれしいです!
今回は、縦スクロールマンガの演出方法についてくわしく解説していきます。
まずはこちらのマンガに目を通してみてください(第1話の続きです)。
冒頭のコマを背景とセリフだけにすることで「間」を作り、読むスピードに緩急をつけています。これによって、場面転換や時間の流れなどを自然に表現することができます。
また、第1話で少し触れましたが、縦スクロールマンガはカラーで描くことが必須となっています。これによって作業量が増えたように思いますが、実はそうでもありません。
なぜかと言うと、カラーであれば「背景の省略・簡略」ができるからです。
背景の省略・簡略の例
2コマ目の背景のように、モノクロでは線を引いたりトーンを貼ったりしなければいけないところも、色を加えるだけで状況を説明することができます。
また、3コマ目のように感情に沿ったエフェクトも、簡単に色を置くだけで済ませることができます。
このように、フルカラーにすることで状況や感情の説明を補完してくれるため、背景などはシンプルな作業で仕上げることが可能です。
もちろん、明暗や材質などを描き込んだリアリティのある表現も、カラーであればより追求することができるでしょう。
縦スクロールマンガでは、回想シーンへの導入・戻りもスムーズに表現することができます。
従来のコマ割りマンガではめくりやヒキを意識する必要があるため、ページの中途半端なところから回想シーンに入ることは難しいでしょう。
一方、縦スクロールマンガではページの縛りがないため、前後の構成にとらわれずに回想シーンへの導入・戻りを行うことができます。
回想の表現方法にも、コマ枠の外を暗い色にするスタンダードなパターンの他に、絵にフィルターをかけて淡くするパターンなど、フルカラーならではの方法があります。
コマ枠の外を暗い色にして回想シーンを表現する例
フィルターをかけて回想シーンを表現する例
回想の部分にセピアのフィルターをかけています。
色は簡単に調整することができるので、作品の雰囲気に合わせた色で表現することができます。
今回は、縦スクマンガならではの「間」演出、フルカラーならではの背景や階層に演出について解説しました。
次回も引き続き、縦スクマンガでよく使われる演出について解説していきます。
こういうことについてもっと解説してほしい、これってどうなの?と思うことがあれば、コミチ公式Twitter へぜひご意見をいただけると嬉しいです!
マンガ:にいの(@niinomr)