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シャープさんさんの作品:プレゼン

固唾を飲みます、 @SHARP_JP です。みんな、大なり小なり、プレゼンの経験があると思う。仕事でも学校でも、自分のことを人前で話す機会のことだ。人前で披露するのは、自分が作った作品だったり、研究だったり、仕事の工夫だったり、あなたが考えた企画やアイデアといったところだろうか。説得とはいかないまでも、目の前にいる人を「ほほう」と思わせたり、「いいじゃないか」と感想を述べさせる程度には、自分を評価してもらうのがプレゼンの目的だ。

 

もちろんプレゼンは緊張する。目の前の人はあなたのファンではないし、会議でふんぞり返る上司など、むしろアンチといっていい。いずれにしろあなたの前にいるのは「どれどれ、お手並み拝見」と見つめてくる、評価者という特権を持った人たちなのだ。もしあなたが音楽家だったら、あなたの演奏を聴きにくるお客さんを前にしたライブの方が、プレゼンよりいくぶんやりやすいと感じるかもしれない。

 

とはいえ、プレゼンと演奏はどこか共通するところがある。どちらも、伝えたいこと/評価されたいことを自分でコントロールしながら、時系列で披露していくからだ。そこには構成があり、相手の反応を見ながら次のアクションを選択できる、即興の余地がある。プレゼンなら机の向こうの人が見せる微かなリアクションを検知し、声の強弱や話を脱線させることもできるだろう。ライブなら楽器やボイスの強弱、あるいは演奏の身振り手振りで客席を煽ることができる。持ち時間と残り時間を意識しながら、速度を調整できる点もプレゼンとライブは似ている。

 

と、考えるのは私が人前で音楽をやる期間がそれなりにあったせいかもしれないし、プレゼンもそれなりに場数を踏んできたからかもしれない。だがプレゼンは、その内容とは別のところで、リアルタイムになんとかできる余地の多い表現手段であることは確かだ。「なんとかなれ」でなんとかなる機会だと考えられれば、プレゼンはけっこうたのしくなると思うのだがどうだろうか。

 

『10年後漫画が描けなくなるお嬢様の話』「(番外編)コミティア感想漫画」(ABZ 著)

 

でも、そうもいかないプレゼンもあるな、と反省したのがこのマンガだった。漫画家さんが描いたネームを編集の人に読んでもらう時など、ひたすら無言でスライドを送るだけしか許されないプレゼンだと思えば、緊張して仕方がない。ましてや持ち込みで恐る恐る評価をうかがう場合など、相手が読み終わるまでの時間は、ひたすら永遠のように感じられるにちがいない。

 

あるいは映画を作り上げた人が試写会にのぞむ時も、似たような苦行なのだろうか。監督が映画を解説しながら上映するなんて考えられないし、自分の作ったものが鑑賞される間、ただじっと評価しようとする人たちと同じ空間で過ごすなど、私には耐えられそうにない。私ならたまらず、映画館を飛び出すと思う。なんとかできる余地のないプレゼンを潜り抜けてきた人たちに、私は尊敬の念をおぼえるばかりだ。

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2024/9/19 コミチ オリジナル
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