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末次 由紀(すえつぐゆき)さんの作品:「造形」の話

・・・・残念なことですが、「見る力」がないのです。


 かつてこんなツイートをしたことがありました。




・・・「奥行きのある顔」の存在を認識していたのに、わかっていたつもりだったのに、やっぱりわかってないな?と自分でも思う絵を描いてしまうことがまだまだあります。




千早・・・まだ平たい顔族だな!?(ちはやふる234首より)


気を抜くとすぐ奥行きを忘れてしまう。


自分が平たい顔で、その造形が骨身に染み込んでいるので、どうしても「奥行きのある顔を描きたい」という思いが付け焼き刃になってしまう辛さ。


正面の顔ではあまり気にならないのですが、下を向いている顔、上を向いている顔の時に如実に「奥行きのあるなし」が伝わってしまいます。


それが辛かったので、最近時間を作って練習しました。「見る力」がないな、ということを感じた時に練習しないと、いつまで経っても手癖で書いてしまいます。


練習して気がついたポイントをここにメモします。 もしも同じように「平たい顔に少しでも奥行きを出したい」と思っている方の気づきになれたら幸いです。


今回も、私の心の奥行き番長【広瀬すずさん】の写真をたくさん見ながら描いてみました。まず下向きの顔。




ああもう、小さな違いが大違いなのがわかります。


描いているつもりでも、ちっとも分かってなかった部分が「眉と目の距離」。ここの距離が奥行きのある顔の人はとても近いです。下を向いたら「目が半分隠れちゃう」くらいの方も欧米人ではいらっしゃいます。


平たい顔でかわいい子もたくさんいますが、キャラクター設定的に「目鼻立ちのはっきりした美人」を描きたい時は、眉と目のバランスがとても大事です。


◆眉と目の幅が近いほうが奥行き顔に見える。 

◆顔の幅はキュッと小さく。(ここではあんまり反映できなかったですが、【耳の位置も目よりもグッと上】にあった方が奥行きの表現として正しいと思います。普通は目の真横に耳はありますが、上から見た場合。)


次にななめ顔を描いた時の気づき。




やはりここでも奥行きのある彫りの深い顔を描くときは「目と眉の距離がポイント」。近ければ近いほど彫りが深く見えるようです。


しかし、ななめ顔を描いた時に気がつきました。上から見た顔を描いた時よりも、「漫画として可愛い」顔にするのが難しい!造形として正しい顔と、漫画として成り立つ顔はまた別物です。


 いいとこ取りを目指すために、第三の顔を描いてみました。




◆左右の目の横幅の差が大きい方が、頭が球体であることが伝わって奥行きを感じられる。

 ◆鼻筋に奥側の目が隠れる方が彫りが深く見える。 

◆目から耳までの距離が大きい方が顔が小さく感じられる。

 ◆耳が少し大きいくらいの方が、顔自体がコンパクトに見える。

 ◆後頭部は大胆に大きめに書くくらいでいい。


海外に住む友人がこの間言っていました。 「同じ頭囲でヘルメットを作っても、欧米人のサイズのものは頭の横幅が狭くて全然入らなかった」


つまりは、自分が思うよりももっと、後頭部だけではなく目の位置、耳の位置も、横側・後ろ側に配置される造形を意識すべきなのです。


まだまだ出来てないこと、描けていないことだらけで恥ずかしいですが、少しずつ気づきを蓄積して行って、いろんなタイプの顔を描けるようにと鍛錬して行きます。


漫画道はまだまだわかってないことだらけです。 (ものすごく研究させていただいた広瀬すずさんに深く感謝を。ありがとうございます。大好きです。)

面白かったら応援!

2021/7/25 コミチ オリジナル