

仮装しませんでした、 @SHARP_JP です。ハロウィンを当て込んで、仕事でひとつ、企画を立てていた。イベントのほとんどは終われば忘却の彼方へ飛んでいってしまうから、みんなどこまで覚えているかわからないけど、つい10日ほど前のことだ。私はハロウィン(正確にいうとハロウィン翌日)にあわせて、ちょっとした広告のアイデアを仕込んでいた。
結果を先に言うと、その企画はうまくいかなかった。うまくいかなかったとは、広告する製品が売れなかったとか知られなかったといった失敗以前に、その広告の企画が話題にならなかったとか、たくさんの人にシェアされなかったという意味だ。要するにコケたのである。原因はいろいろ思い当たるところはあるが、そのうちの大部分は私のアイデアの貧困さとか文章力の欠如とか間の悪さに由来する。
だがもっとも大きな要因は、そもそもハロウィンをあてにしすぎたことにある。同感する人はけっこういると思うが、今年のハロウィンはあまり話題にならなかったのではないか。私の雑な実感で申し訳ないけど、参加するしないは別にして、祭りの場や行為への注目は、ハロウィンと荒れる成人式が近年の二大巨頭だったはずなのだ。しかし今年のハロウィンはちがった。海外で昨年起こった悲劇的な事故の教訓や、祭りの場所が祭りの拒否を宣言したことで、過度の騒ぎも注目も自制されたのだと思う。そのこと自体、社会にとって適切なことだと思う。ただ私が勝手に、祭りに依存した企画をしてしまったのだろう。
ときどき、私は便乗しかしていないのでは、と思うことがある。ターゲットがどうとかニーズがどうとかカスタマージャーニーがどうとか、ふだんもっともらしいことを言いながら、あれこれ思案したフリをしつつ、ただ人々が生活する一年の歳時記にあわせて、声を張り上げ自社製品を振り回しているだけではないか。そういう気持ちになる時がある。
そしてまた間髪入れずに次がやってくる。クリスマスに便乗した仕事が氾濫する時期がやってくる。クリスマスと家電に明確で直接的な関連はないのに、ジングルベルを鳴らしながら今年もまた私は、ケーキのように家電を宣伝するのだ。
卑屈なカボチャと仲間たち(中恭 著)
カボチャもさぞかしうんざりしているだろう。もしかしたらうなぎも、ゆずも、七草も、フライドチキンも、恵方巻きも、ケーキも、昔からわれわれに憤慨していたのかもしれない。申し訳ない。数々のイベントに便乗する仕事をしてきた私は、よけいにそう思う。
毎年毎年イベントごとに一瞬の注目と消費を集めてアップダウンを繰り返すモノたちが、せめてこのマンガのような不幸自慢でケンカしないことを願っている。こっちが勝手に商売しようとしているだけだから、どうか仲良くしてほしい。あなたがたの美味しさや滋味は、こっちの便乗で減ることはないのだから。

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