

不断に優柔です、 @SHARP_JP です。「どっちでもええやん」と言いたくなることがある。なにかの案とその対案のメリット・デメリットを提示して、微に入り細に入り検討するふりをしつつ、決断を延々と先延ばしにする会議なんかに出ているとそう叫びたくなる。どっちを選ぼうとも、選ばなかったルートの結果は検証できないのだから、選んだ方が正解なのだ。
もちろん現実はそんなに豪鬼即断できることはなかなかない。私も優柔に輪をかけるように優柔だから、ずっと迷う。さっきも味噌ラーメンにするか醤油ラーメンにするかで延々迷った。そんなもんだ。ただし自分で決断する責任を回避したいがために優柔な人には、どっちでもいいやんと迫りたくなる。
一方で「どっちでもええやん」が相手を逆撫ですることもある。相手が「どっちでもよくはない」と思っている場合である。装いに興味のない人が、熱心に試着を繰り返す人に言う場合や、疲弊した人が家族に問いかける献立や家事の返事として、いかに「どっちでもええやん」が相応しくないかは、だれでも想像がつくだろう。こだわりや知見を持つ人に対する「どっちでもええやん」は、時に侮辱と化す。
私が主張したいのはそれだ。私は「どっちでもよくはない」と思っているが、多くの人にとっては「どっちでもええやん」と認識されている問題である。つまり扇風機の問題だ。扇風機など、どっちでもええやんな買い物の最たるものであろう。しかし私は、扇風機はだんぜんDCモーターを使うべき、と言いたいのである。
扇風機にはACモーターで回るモノとDCモーターで回るモノがある。交流と直流である。あなたには見えない、電気の話である。しかし「どっちでもええやん」と言わないでほしい。あるいは扇風機に「どっちか」という選択肢があったことを知らない人もいるだろう。
だからここではっきりと申し上げたい。もしあなたが扇風機を買おうと考えているなら、多少お値段が張ろうともDCモーターを選んでほしい。風の滑らかな心地よさや静かさ、そして風量を細やかに変更できることなど、使ってみて実感できる「こっちでよかった」が待っているから。この夏、扇風機に関しては、どっちでもええやんをいったん保留にしてほしいのだ。
扇風機代理(ヒバライ バイト 著)
話は変わったのか変わってないのかわからない話だが、扇風機をめぐる風景も、ここ5年ですっかり様変わりしたのではないか。あのハンディ扇風機の普及は、日本の夏の景色を変えてしまった。扇風機売り場の景色も変えてしまった。
みんながハンディ扇風機を片手に歩く姿を見ると、どっちでもええやんと思われがちなありふれたモノでも、劇的な変化が起こりうるんだなと感じてしまう。そう考えると、このマンガのような扇風機バイトも無邪気に笑っていられないのかもしれない。
そういえばハンディ扇風機は充電式バッテリーで動くのでDCモーターだ。あれは、どっちでもよくない扇風機である。

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