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シャープさんさんの作品:少数派

ねじれています、 @SHARP_JP です。自分はいつも少数派だと思って生きている。少数派といっても、マイノリティと呼ばれるような、切実で、生き方や尊厳に関わるものではない。AとBならどちらが多く好きだと選ばれるでしょうかといった二択クイズで、いつも負ける方を選んでしまうような、性格というか気質のようなものである。

 

たしかに昔から、自分が好むのは周囲で一番人気のモノより、二番かあるいはランキングに入らないようなモノばかりだった。だからといって「自分はあなたたちとはちがうのだ」と選ばれし自我を誇るような気持ちもなくて(そういう時期はとっくに過ぎた)、ただ少数派であることを自らの現象として淡々と受けとめる境地である。なぜ自分の好むモノが少数派に属さねばならんのかと憤る気持ちもないから、もとより布教する覇気も持ちあわせていない。そこがなにかにつけ私の人生が、薄味な所以なのだろうと思っている。

 

ただし少数派でいることはむしろ有効だと自覚する節も私にはある。新しいアイデアや企画は少数派とされる領域から生まれることが多いし、そこにいれば新しいなにかを自分が発見する確率はそうとう高くなると思っている。いつも次におもしろいことは現在の少数派から発生するものだから、カウンター側にポジショニングしている方が有利じゃないかと考えるわけだ。つまり打算的に少数派でいる。たぶん私は、そっちの方がたのしそうに見える気質なんだろう。あまのじゃくといえばそれまでだし、逆張り気取りだと言えばうなずくしかない。

 

『なんでもない日』「パラレルワールドへようこそ」(オムスビ 著)

 

ただし少数派を自己肯定する気質にも条件がある。いくら少数派といっても、私は「ひとりぼっちではない」と感じているかぎり、少数派を自認できるのだ。常に「私と似たヤツがいる」という息遣いが感じられる場所があるからこそ、少数派は成立するのだと思う。少数などといっても、そこに属するメンバーは複数、それもけっこうワイワイやれるくらいの数が必要なのだ。ひとりぼっちだと、少数派なんて気取る余裕もなく、切羽詰まってしまうはずだから。

 

考えてみてほしい。私以外ぜんいんが常連の店に入ってしまった時を。私以外ぜんいんが全裸なヌーディストビーチに足を踏み入れてしまった時を。後者はこのマンガを読めばわかるだろう。文字どおりの「ひとりぼっち」は、心細いどころか、いたたまれない。そこでは自分のことを「存在を許されない存在」に思えてくるのではないか。

 

だからひとりぼっちは少数派ではない。ただの孤立だ。あなたがもしひとりぼっちでいるなら、あなた以外のぜんいんはあなたを異端として見るし、異物として認識するはずだ。そこに居続けるのは容易ではない。ただしふたりぼっちや3人ぼっちなら、状況は激変するだろう。ヌーディストビーチだって、あなたと幾人かが服を着ていればなんとか踏みとどまれるはずだ。そしてその時に少数派へ属している人は、あなたにとって大切な人であることが多い。その点に関しては逆張る必要がないと、長く少数派を続ける私は断言できる。

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2024/5/30 コミチ オリジナル
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