

この連載では、『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』などの編集者であるコルク代表・佐渡島庸平が、『コミチ』に投稿しているマンガ家の中から気になる存在を毎回紹介します。
いいマンガにはいいキャラがいる
今回は、人の繊細な心の脈動を見逃さない、コジママユコさんを紹介。
まずはコジマさんの作品『毎日ちゃんとの毎日』を見て欲しい。
毎日ちゃんの本名は小夜だ。しかし、朝でも夜でもなく「毎日」が一番幸せだと思っている。この印象的なエピソードで僕たちは「毎日ちゃん」の名前だけでなく、人柄を知り、彼女に興味を抱く。
コジマさんの作品はすごくキャラが立っている。
キャラを立たせる要素のひとつは、いい呼び名を持っていることだ。その名付けにまつわるエピソードが面白いと作品に自然と惹き込まれる。
加えて、コジマさんはキャラの性格をしっかり描けている。
この作品では、表向きは世渡り上手で要領のいい子が実は繊細で、世渡り下手でのんびり家な子が、たくましく強い。この意外性のある性格が僕は面白かった。
ミスマッチに思える2人が親密になる過程が、しっかりと具体的なエピソードをもって描かれている。それが、2人のキャラを浮かび上がらせ、作品をとてもいいものにしている。
親友とはどんな関係か?
僕はこの作品を読み終わった後、2人の関係をこの先もずっと追いかけたいと感じた。
親友とはどんな関係だろうか。何か2人だけの秘密を共有している関係だろうか、寂しいときなどに頻繁に連絡を取り合っている関係だろうか。
僕は、お互いが会っていないときに、相手のことを思い、むしろ連絡を取らず行動している関係だと思う。
マンガにおいては、そういった行為をお互いに繰り返している描写があると、この2人は素敵な関係だと感じる。会ってない時の描写でどれだけその人を大切に思っているかが分かるのだ。
コジマさんの作品では、お互いが離れている時と一緒にいる時の感情の両方がうまく描かれている。それにより、2人が生涯の大切な友達になったということがよくわかる。
僕は、コジマさんが今後、見落とされてしまいがちな人の繊細さをどのようにすくい上げ、作品に息づくキャラとして描くのかすごく楽しみにしている。
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<編集協力:平井 海太郎>

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