

この連載では、『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』などの編集者であるコルク代表・佐渡島庸平が、『コミチ』に投稿しているマンガ家の中から気になる存在を毎回紹介します。
自分の心が動く瞬間を伝える
今回は、ときめきの瞬間を見逃さない、小柳かおりさんを紹介。
まずは、小柳さんの作品をみて欲しい。
いいマンガとは何か。それは読者の感情を揺さぶるマンガだ。
では、どうすれば他人の感情を揺さぶれるのか。それは、自分の心が大きく動いた瞬間を伝えること。
『みんなチアになりたかった』は、小柳さんにとって思い出すだけでギュっと辛くなる話だ。このような負の感情の話は、SNSで発言すると、ウジウジしている奴だと誤解を受けることを怖れて、投稿を躊躇するかもしれない。
ただ、マンガは全ての自分が経験した感情を大切にすべきだ。たとえ内容がマイナスな感情であっても、その大きな感情の揺らめきは人の共感を誘う。
だからマンガは、どんなことでも自分の感情が動いたこと、今も動き続けていること、思い出すだけで動いてしまうことをしっかり丁寧に描いた方がいい。
小柳さんはこれがとても上手だ。
読者の心をキュンとさせる演出
次に『きれいの魔法』というマンガがある。
僕はこれを読んで思わずドライヤーにキュンとしてしまった。
自分の感情が動く瞬間をただ描けば、読者の心も動くわけではない。
読者の心が動くときには、感情をわかりやすく伝える演出がある。
『きれいの魔法』は、ドライヤーがイケメンに擬人化し、主人公の身を案じて話しかけてくる演出がある。身の回りにあるものが自分のことをわかってくれていたら嬉しいという感情を、読者にわかりやすく伝えているのだ。
僕は小柳さんが今後どんな感情の動きを捉え、キュンとさせてくれる作品を描くのかとても楽しみにしている。
▼小柳かおりさんのマンガはコチラ
<編集協力:平井 海太郎>

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